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フィリピンのウベ無期限輸出禁止が示す原料争奪の時代、抹茶産地は供給の安定をどう築くか

フィリピンのウベ無期限輸出禁止が示す原料争奪の時代、抹茶産地は供給の安定をどう築くかを表すイメージ画像

ニュースの概要

フィリピン政府が、紫色のイモとして知られるウベの輸出を無期限で禁止したと報じられた。ウベは欧米のカフェでラテやアイスクリームに使われ、「新たな抹茶」と呼ばれるほど人気が高まっていた食材である。生産国が自国の産物を海外に出さない決断をしたことで、世界の飲食店や食品メーカーは原料の確保を見直す必要に迫られる。本稿では報道の詳細を追うのではなく、抹茶の需給で起きてきたことと重ね合わせ、輸出規制の狙いと、日本の茶業界や抹茶関連事業者が引き出せる教訓を考える。なお、禁止の具体的な範囲や理由は、公表された情報を確認する必要がある。

引用元: 「新たな抹茶」と話題のウベを生産国フィリピンが無期限で輸出禁止に─その意図とは(クーリエ・ジャポン)(Yahoo!ニュース)

分析・見解

ウベが「新たな抹茶」と呼ばれる背景には、需要急増という同じ構図がある

ウベはフィリピン原産の紫色のヤマノイモで、甘みと鮮やかな色が特徴である。SNS映えする色合いが追い風となり、欧米のカフェでラテや焼き菓子に使われるようになった。抹茶も同じ道をたどった。健康志向と見た目の良さが重なり、世界中で需要が跳ね上がった。

共通点は、需要を生む国と、原料を作る国が離れていることだ。消費地では流行が数年で急拡大するが、畑は一年や数年では増やせない。この時間差が、価格の高騰と品薄を生む。

輸出禁止の狙いは国内確保だけでなく、付加価値の囲い込みにもある

輸出禁止の理由として、まず考えられるのは国内の供給確保である。原料が海外に流れて国内価格が上がれば、地元の菓子店や消費者が困る。もう一つは、価値の取り分の問題だ。生のイモや粉のまま輸出すれば、利益の大半は加工して売る外国企業に移る。国内で加工してから出す形に変えられれば、産業の育成につながる。ただし禁止には副作用もある。海外の買い手が別の産地や代替品に切り替えれば、一度失った取引先は戻りにくい。短期の国内保護が、長期の市場を縮めるおそれがある。

過去にも例がある。インドネシアは2022年にパーム油の輸出を一時止め、2020年にはニッケル鉱石の輸出を禁じて国内精錬を促した。インドも2023年に一部のコメの輸出を制限した。ただし、今回の本当の意図は公式発表を確認する必要があり、ここでの整理はあくまで推測である。

日本の抹茶に当てはめると、碾茶の生産こそが急所になる

抹茶の原料である碾茶(=覆いをかけて育てた茶葉を蒸して乾燥させたもの)は、需要の伸びに生産が追いついていない。茶畑に覆いをかける設備が必要で、新しく植えた茶樹が収穫できるまでには数年かかる。宇治、鹿児島など主要産地では、茶農家の高齢化と後継者不足も重なり、増産の余力は限られている。ウベと同様に、需要だけが先に膨らむ構造だ。

日本は輸出を禁じる立場ではないが、産地が自らの原料を優先する動きは今後も起こりうる。また、海外産の抹茶が増えれば、日本産との違いをどう示すかも問われる。

規制は人気の裏返しであり、ブームの終盤に出やすい

独自の見方として、輸出規制はブームの初期ではなく、価格が上がり国内の不満が高まった後に出やすいと考える。つまり、規制の発表は需要が十分に大きいことの証明でもある。ウベの動きは、抹茶市場にとって次に何が起きるかを先取りして見せた事例と言える。

ただし、ブームの終わりと規制は別の話である。需要が落ち着けば、禁止が解かれる可能性もあり、事業者は止まるタイミングを読むより、止まっても動ける体制を整えるほうが現実的だ。

ビジネスへの影響

原料を一つの産地や一つの国に頼る調達は見直しが要る

抹茶を使う飲食店、菓子メーカー、小売事業者は、まず自社の調達先を洗い出したい。仕入れ先が一社、産地が一つという状態は、ウベの件が示すように、政策一つで供給が止まる危うさを抱える。輸出規制のニュースは、遠い国の話に見えても、数か月後に自社の仕入れ価格として表れる可能性がある。

対策は三つある。複数の仕入れ先と契約すること。産地や等級の異なる代替品を試しておくこと。年間契約や前払いで、数量を早めに確保することだ。ただし、備蓄を増やしすぎると、在庫の劣化や資金負担が重くなる。抹茶は風味が落ちやすいため、冷凍保管などの条件も含めて量を決める必要がある。

規制や値上げのリスクを、メニュー価格と契約に織り込む

原料が上がったとき、すぐ値上げできる事業者は多くない。そこで、メニューや商品の設計段階で、原料の使用量を調整できる余地を残しておく。たとえば、抹茶を主役にする商品と、他の素材と組み合わせる商品を並べ、状況に応じて販売の重点を動かす方法がある。

法人取引では、価格改定条項を契約に入れておくと、急な変動でも話し合いの土台ができる。なお、値上げの理由を客に伝える際は、原料の産地事情を短く添えると、納得を得やすい。

日本産の強みを、産地と品質の物語として示す好機になる

ウベの輸出禁止は、日本の茶業界にとって他人事ではない。一方で、原料の出どころを明確に示せる産地には追い風にもなる。産地名、栽培方法、収穫時期を商品に表示し、生産者の顔が見える形で売れば、価格だけで比べられにくくなる。

事業者は、仕入れ先の産地を訪ね、作り手と長期の関係を築くことが、結局いちばん強い備えになる。禁止措置のニュースが出た日に慌てて動くのではなく、平時から調達先と情報を交換しておきたい。

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