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DripSquareが米国法人を設立、抹茶の対米展開で試される調達力と規制への備え

DripSquareが米国法人を設立、抹茶の対米展開で試される調達力と規制への備えを表すイメージ画像

ニュースの概要

株式会社DripSquareが、2026年10月1日付で米国法人「Matcha Otaku USA Inc.」を設立したことが、PR TIMESを通じて発表された。社名から見る限り、抹茶を軸にした米国向けの事業を、現地の法人として本格的に動かす体制づくりとみられる。日本の抹茶は世界的な人気で、とくに米国は需要の伸びが目立つ市場である。一方で、原料の茶葉の確保や関税、食品の輸入ルールなど、越えるべき壁も多い。本稿では、発表された事実と公開情報をもとに、この動きが抹茶産業にとって何を意味するのかを読み解く。

引用元: 株式会社DripSquare、2026年10月1日に米国法人「Matcha Otaku USA Inc.」を設立(PR TIMES)

分析・見解

現地法人を置くと米国での商売はどう変わるか

日本から商品を送るだけの越境販売と、現地に法人を置く運営は、まったく別の仕事である。法人があれば、米国内で契約を結び、銀行口座を持ち、人を雇い、在庫を置ける。取引先のカフェや小売店から見れば、「顔の見える相手」になる点が大きい。クレームや返品にも米国の時間帯で対応できる。

抹茶は、輸送中の温度や湿度で風味が落ちやすい商品だ。現地に在庫を持てば、鮮度の管理もしやすくなる。今回の法人設立は、販売数の拡大というより、品質と信頼を守るための土台づくりと読むのが自然だろう。

需要は急拡大、足りないのは原料の茶葉

米国では抹茶ラテが定番メニューになり、SNSでの人気も後押しして需要が急増した。2024年から2025年にかけては、日本の老舗茶舗が購入数量を制限するほどの品薄になった。

理由は単純である。抹茶の原料の碾茶(てんちゃ=抹茶に挽く前の茶葉)は、畑に覆いをかけて育てる手間のかかる作物だ。増産しようと思っても、新しい茶園が戦力になるまでに数年かかる。需要が先に走り、供給があとから追いかける構図が続いている。

関税と食品規制が利益を圧迫する

2025年以降、日本から米国への輸出品には追加の関税がかかる局面が続いた。抹茶のように単価が高い品目では、関税の数パーセントの差が利益に直結する。さらに米国では農薬の残留基準が日本と異なる。日本国内で問題のない茶葉でも、米国では基準を超える場合がある。有機認証の扱いも事前の確認が欠かせない。

現地法人は、こうした規制の窓口を一本化できる。輸入者として責任を負う立場になるため、書類や検査への対応力がそのまま競争力になる。

勝負を分けるのは売る力より仕入れる力

米国市場の勝負は、ブランドの見せ方で決まると考えがちだ。しかし今の抹茶は、売る力より仕入れる力が足りない市場である。社名にある「Otaku」の言葉が示すような、熱心なファン層に向けた専門性は強みになりうる。ただしそれを裏付けるのは、産地との長期の関係だ。法人設立が、産地と米国の消費者を直接つなぐ仕組みへ育つかどうか。そこが最も注目すべき点である。

ビジネスへの影響

米国進出を考える事業者が先に確認すべき三点

一つ目は原料の確保だ。契約栽培や複数産地との取引で、2〜3年先の数量を見通せるかを確かめたい。二つ目は規制対応である。米国食品医薬品局(FDA)への施設登録や、農薬残留の検査結果を、出荷前に確認する体制が要る。三つ目は価格の設計だ。関税や輸送費を乗せても、現地の小売価格で成り立つかを試算しておく。

法人を作る前に、小さく試す方法もある。現地の輸入業者や物流会社と組み、一定期間の販売実績をつくってから法人化すれば、固定費の負担を抑えられる。

茶農家や製茶業者にとっての商機と注意点

現地法人を持つ買い手は、産地にとって新しい取引先になる。直接取引は、中間業者を挟むより価格を交渉しやすい。一方で、特定の買い手に頼りすぎると、需要が落ちたときの打撃が大きい。売り先を分散し、品質の基準や納期を契約で明確にしておきたい。

また、抹茶ブームがいつか落ち着く可能性も見ておくべきだ。流行が過ぎたあとに残るのは、品質で選ばれる関係である。短期の増産に飛びつくより、等級ごとの価格を守る姿勢が長い目で身を守る。

今後の発表で確認したい情報

今後は、法人の販売先がカフェ向けか、小売向けか、通販かを確かめたい。調達先の産地が公表されるか、有機認証品を扱うかも判断材料になる。こうした情報が出た時点で、競合や取引候補としての位置づけを見直すとよい。

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